検査値はこう見る!
2025.5.18
AST,ALTは直接的な肝機能検査ではありません
検査値表でASTやALTは肝機能検査という項目に属しているケースが多々見られますが、実は直接的な肝機能を表す検査数値ではありません。 ASTやALTは以前はGOTやGPTとも呼ばれていた検査値です。ASTやALTは様々な臓器中の細胞の中にある酵素です。特に肝臓に多く存在するために「肝臓」の項目に属しております。肝細胞中にある酵素ですから、肝細胞が壊れた状態(肝障害)の時にASTやALTが血液中に漏れ出し、ASTやALTが高値となるわけです。

【肝障害が直接的に肝機能障害ではありません】
AST基準値:30 U/L以下
ALT基準値:30 U/L以下
※上記は日本人間ドック学会の基準値ですが、医療機関や検査機関により若干の差異があります。
たとえば、自動車を壁などにこすって傷ついたからと言って、自動車がすぐに動かないわけではありませんよね。それと同じように一時的にASTやALTが高値でもすぐに肝機能が低下というわけではありません。そのため通常は、「経過観察」といわれることが多いのです。肝臓は再生できる臓器のため、しばらくしてから修復されるケースも多いのです。
肝機能障害にまで影響するには、
・「急性」に高度に上昇する場合(ALTが300U/Lを超えるレベル)
・「慢性的に」ASTやALTが基準値より高い場合
自動車の例でいうと、頻繁に事故を起こしていると最後は自動車が動かなくなるというイメージです。そのため医師は、経過観察して慢性的に高くなっているかどうかで肝機能が低下していないかどうかを確かめようとしているのです。
【ASTやALTは様々な臓器にも存在します】
ASTやALTは、肝臓だけでなく、心臓や腎臓、膵臓、筋肉、赤血球など様々な組織に存在します。これらの障害によってもASTやALTは高値になるため、ASTやALTが高いのは必ずしも肝臓だけではない場合もあります。




