検査値はこう見る!
2025.7.7

腫瘍マーカーが高いと、がんに間違いないの?

腫瘍マーカーは、基本的には「腫瘍」が作る物質を測定します。しかし、腫瘍マーカーは、腫瘍だからと言って100%陽性になるとは限りません。逆に腫瘍をもっていない人でも陽性化してしまう人もいるのです。

【腫瘍とがんの違い】

通常、腫瘍は良性腫瘍と悪性腫瘍に分かれており、悪性腫瘍は「がん」といわれます。
腫瘍とは、目的なく、勝手に増殖してしまった細胞のことを示します。その中でも悪性腫瘍(がん)は、なぜ悪性かというと、単に増殖するだけではなく、浸潤(臓器に深く入り込む)や転移(ほかの組織に移る)することで、それが原因で人を死に至らしめるものなのです。

【他の疾患でも高くなる腫瘍マーカー】

例えば、腫瘍マーカーでも比較的有名な「CEA」。CEAは消化器系がんでも上昇しますが、慢性肝炎、肝硬変、慢性膵炎、肺結核、炎症性腸疾患、喫煙、糖尿病、加齢、胃潰瘍などでも上昇することが知られています。また前立腺がんのマーカー「PSA」も前立腺がんだけでなく前立腺肥大のような良性疾患でも上昇することが知られています。
そのため、腫瘍マーカーが高かった場合には、さらに精密検査をして、本当にがんなのか、がんでないのかを確かめる検査を行っていくのです。

【腫瘍マーカーはがんの発見マーカーではない】

腫瘍マーカーをがんの発見マーカーと思っている方も多いようですが、初期のがんなどはまだ腫瘍が腫瘍マーカーを作り切れていない場合など陽性化しない場合もあります。また、がんが大きくなっても腫瘍マーカーを作っていない場合もあるのです。
そのため、腫瘍マーカーの本当の使い方は、発見するためのものではなく、陽性になった方がその後治療によってどのくらい改善されたかを見ていくためのものなのです。