検査値はこう見る!
2025.7.21

白血球数が低いと免疫が低下しているの?

白血球は、私たちの体を細菌やウイルス、がんなどの「異物」から体を守ってくれている免疫細胞です。
白血球の種類には、好中球やリンパ球、マクロファージ(単球)、好酸球、好塩基球などが知られています。

白血球は異物に反応して増加する

白血球数(WBC) 基準値 3,000-9,000/μL

通常、感染症やがんなど異物が体にあると、体を守るために白血球は増加します。
また、異物が体にあるときだけでなく、ストレスが過剰になっているときにも白血球は増加することが知られています。体にとってのストレスとは、精神的なものだけでなく、運動、寒冷刺激、直射日光、麻酔、外科手術、月経、陣痛、痙攣、タバコなども体にとってはストレスと感じるため、白血球が増加する場合があります。

白血球数の低下は必ずしも免疫の低下とは限らない

白血球数が減少すると「免疫がさがったのかな」と感じる方も多いと思います。確かに白血球は免疫をつかさどるため、白血球数が減少するとそれだけ体を守ってくれる免疫細胞が少なくなるため、免疫が低下することが多いです。
しかし、検査値上で見る白血球数が減少していても、体全体の白血球数が少なくなっているとは限らない場合があります。私たちが行う血液検査は主に腕から血液を採取しています。ところが白血球は、血液中だけでなく血液の外にでている白血球や臓器にとどまっている白血球もいるのです。さらにどこかに感染や炎症が起きている場合、その部分に白血球が集まってしまっている場合もあり、腕から採取した血液では体全体の白血球数を把握することが難しい場合もあるのです。

そのため、白血球数が一時的に減少した場合には、医師は「様子を見てみましょう」と言ったり、再検査を行うことが多いのです。
また、薬剤性の白血球数の減少も知られており、薬を変えたら急に白血球数が低下したなどの場合には、変えた薬が原因で白血球数が減少する場合もあるのです。

白血球数は判断が難しい

白血球数は、比較的多くの原因で増加したり、減少するため、多少の基準値内での変動は、あまり気にすることはないでしょう。基準値からはずれるような異常値でも「継続して」増加したり減少することがなければ、大きな問題になることは少ないです。ただ、白血球数は判断が難しい検査値ですので、不安な場合には医師などの専門の方に相談しましょう。